そのトラックは本当に必要ですか?

1.必要か不要か?整理する

あの音も、この音も使いたい…。DAW(Rec.システム)のトラックを増やし、音を録り進めると、ミックスが難しくなっていきます。トラックが増えて音の塊が鳴っているだけで、個々の音がわかりづらくなるからです。


そんな状態に陥ると、演奏を間違って録音しても、気づかなくなります。それを聴きながら、新たなパートを重ねていくと、さらに仕上がりは悪くなります。悪循環と言えるでしょう。トラックが増えることは、PCにとっても負担となり、動作が鈍くなって音質悪化につながります 。

 

そういう意味で、必要なものは何であるかを考え、不要ならミュート、本当に必要 ならトラックを増やす。メリハリが大事かと存じます。 不要といっても、削除の必要はありません。ミュートして非表示にすればよいので す。

 

 

 

2.スタジオCDとライブCD

 ドラム、ベース、ギター、ヴォーカルのコピーバンドがあったとしましょう。ライブで憧れのバンドの曲を演奏するにあたり、イントロ、バッキング、ソロ、アウトロなどを、ギター1人で担当することに。そうなると、ソロの時に本来あってほしいバッキングを省略せざる得ないことになります。ライブでは気にしませんが、これがスタジオCDだったとしたら、急にバッキングがなくなるというのは、曲によってはものすごく違和感を覚えます。

      

スタジオCDでは、複数のパートを重ね録りしており、曲の流れがスムーズだと考えます。ライブ経験が豊富な方でも、いざ、ご自分のレコーディングになったら、考え方を切り替えてスタジオCDならではのパートの配置を考えて録り進める必要があります。

      

 というわけで、レコーディングをするなら、バンドの構成(パートの構成)をあらかじめイメージしてから相談、依頼するほうが良いと考 えます。例えば、

 

  ‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒

  1. キック(モノラル)
  2. スネア(モノラル)
  3. タムH、M、F(ステレオ)←打込みの場合
    タムH(モノラル)←マイク録りの場合
    タムM(モノラル)←マイク録りの場合
    タムF(モノラル)←マイク録りの場合
  4. ハイハット(モノラル)
  5. クラッシュA、B、ライド(ステレオ)
  6. チャイナ(モノ)←稀なもの、5に含めてもOK
    ‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒
  7. ベース(モノラル)
  8. ピアノ(ステレオかモノラル?)
  9. ストリングス(ステレオかモノラル?)
  10. ブラス(ステレオかモノラル?)
  11. パッド(ステレオかモノラル?)
  12. クリーンカッティングギター2本(左、右)
  13. クリーンアルペジオギター2本(左、右)
  14. 歪みギター2本(左、右)
  15. リード楽器(ギター、シンセリード、Sax等、モノラル)
  16. コーラス
  17. ヴォーカル(Aメロに被ってサビが入るなんて場合は予備トラックも準備)
    ‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒‒
  18. ギターのフィードバックやスクラッチ(ステレオかモノラル?)
  19. 効果音(ステレオかモノラル?)

 

 

 

3.ドラムのパーツと定位

曲の核となるモノラルパートは中央に定位させます。ドラムの場合、センターに定位するのは一般にキック、スネアです。 それ以外のパートは、客席から見た配置、またはドラマーとして自分から見た配置を意識して定位を決めます。

 

なお、打込みでドラムトラックを作る場合、ステレオトラック(2トラック)で作成しがちですが、ドラムはパーツごとにバラしましょう。各DAWによって操作は違いますが、工夫すれば概ね分けることができるはずです。そのほうが、トラック別に音 質、ヴォリューム、定位(パン)を変えることができるようになりますから。もとも とドラムの生録が、複数のマイクで録っているし、同じような考えで扱えるようになるわけです。

 

 

 

4.メインとなるもの

モノラル、中央に定位

ヴォーカルやリード楽器、ベース、ドラムの主要パーツ等、メインとして目立たせたいパート、あるいは低音が出るもの等はモノラルで録り、中央に定位させます。

 

 

 

5.楽器のモノラルパートは

左右に定位

ピアノ、ストリングス、ブラス、パッド、ギターをモノラルで録った場合は、左右のどちらかに 定位させます。その場合、その反対側にバランスを取るためのペアとなるパートが必 要です。両者がバランスよく演奏していないと、人間は気持ち悪く感じるもので す。

例えば、右にギターなら左にピアノとか。右にアコギ、左にエレキギターとか。ただ し、音質が極端に違う楽器どうしは違和感がでるかもしれません。それに、一 方だけ演奏しない時間が長い場合などは放送事故のように感じます。 ライブとは聞かせ方が違うのです。気を付けましょう。

 下表はギターが主体のバンドでの録り方、トラック整理、定位 をまとめたものです。よろしければ参考に。

 

6.エフェクター用トラックも忘れずに

ミックスでは、楽器トラック以外に空間系のAUXトラック(エフェクター用)が必要です。ミックスの 場合の空関係エフェクトは、センド、リターンを用いた並列接続です。ギターのペダルエフェクト のように直列ではありません。 ミックスでは、各トラックの音を系統別にまとめ、バス配線で送り(センド)、まとめて 共通のエフェクトを掛けてミキサーに戻し(リターン)、元のトラックとともにミックスします。

例 えば、以下1~6で6系統(ステレオなら12トラック相当)。

 

  1. ドラム類
    スネアのみ別のトラックを用意して専用のリヴァーブを掛けることもあり。 なお、AUXトラックに送った後に、コンプレッサーで音を潰してからリヴァーブを掛ける と、聴き具合が安定し独特の雰囲気が演出できます(送りコンプ)。
  2. キーボード類
    主にバッキング用のキーボード類をまとめます。
  3. ギター類
    主にバッキング用の歪み系、クリーン系。掛けるリヴァーブはプレートタイプ。基本的に、あ まり深く掛けません。
    もしもシューゲイザーのような独特の質感を持たせたいなら、掛け録りです。つま りギター録り(ギター、エフェクター、アンプ、マイク)の段階で掛けてください。ただし、ミックスの段階で掛け具合を調整できません。
  4. コーラス用。人の声でもヴォーカルとは別にした方がすっきりします。
  5. メインヴォーカル用。BPMに合わせたプリディレイはよく使います。
  6. リード楽器( リードギターやリードシンセ等)にやディレイやリヴァーブを掛けます。
    バッキングと別トラックを用意することで、バッキングパートに影響なく比 較的自由に深さを設定できます。ディレイの場合はBPMに合わせたディレイタイムの計 算をします。リヴァーブの場合でもBPMに合 わせたプリディレイをよく使います。